相続

◆相続って?

相続とは人が亡くなることによって、その人の財産に関わるもの(たとえばその人が持っている現金・預金・土地・お金を請求する権利など)を、全部相続人に引き継ぐことをいいます。

相続を規定している法律は民法で、昭和22年5月までの旧民法のもとでは「家」制度のもとに一人相続を原則とする「家督相続」でしたが、現行の民法では、配偶者や子供らを相続人と法律で決める、法定相続分にそって遺言がなければ相続は進められることになります。

◆相続の概要

人は必ず亡くなります。そして亡くなった後には、必ず発生するのが相続です。

相続人は原則として被相続人の財産に属した一切の権利義務を包括的に承継します。例えば土地や建物などの所有権、占有権や賃借権、預金債権、金銭債権などの物権や債権、債務のほか売主や買主などの契約上の地位、取消権なども相続の対象となります。

さらに判例によれば、生命侵害の場合の被害者の慰謝料請求権も相続されます。ただし、権利義務のうち被相続人の一身に専属したもの(生活保護など)は相続の対象とはなりません。

被相続人の配偶者は常に相続人となります。

子供がいた場合には子が、子供が既に亡くなっている場合にはその子供へ、子供がいない場合には親や祖父母などの直系尊属が、子も直系尊属もいない場合には兄弟姉妹(亡くなっている場合には甥や姪)が法律で定められた相続人となります。内縁の妻(夫)は法律上の夫婦ではないため相続人とならず、胎児は子として相続人となることが出来ます。ただし死産の場合には相続人となることは出来ません。

法律で相続人の範囲は決められていますが、以下の事由がある方は相続人となることが出来ません。

1.故意に被相続人または相続の先順位、同順位にあるものを死亡させたりあるいは死亡させようとして刑に処せられた者
2.被相続人が殺されたことを知っているにも関わらず告発、告訴をしなかった者
3.詐欺や強迫をして被相続人が相続に関する遺言をしたり遺言を取り消したり遺言を変更することを妨害した者
4.詐欺または強迫によって被相続人に相続に関する遺言をさせたり遺言を取り消させたり遺言を変更させた者
5.相続に関する被相続人の遺言書を偽造したり変造したり破棄したり隠したりした者

またこれらに当てはまる方は遺言による遺産の贈与(遺贈)を受けることも出来ません。さらに被相続人は被相続人に対して虐待をしたり重大な侮辱を加えたりあるいはその他の著しい非行があったときにはその推定相続人を相続人でなかったことにすることができます。これを“推定相続人の廃除”といいます。廃除は遺言によっても行うことができますし、生前に家庭裁判所に請求して行うこともできます。

◆相続の対象(具体的事例)

どのような権利義務が相続の対象となるかはそれぞれの権利義務の性質から判断されますが、次のような権利義務が特に問題とされます。

1.扶養請求権

一身専属権として相続の対象とならないが、相続開始時(被相続人の死亡時)において内容が具体的に確定しており、履行期が到来しているものについては相続の対象となります。

2.慰謝料請求権

交通事故などの被害者の慰謝料請求権は本来被害者のみが行使できる一身専属権ですが、被害者の死亡により消滅するものではなく、当然に相続されるとするのが判例です。ただし被害者が生前に慰謝料を請求しない意思を示していた場合には請求できません。

3.身元保証債務

就職などに際してなされる身元保証は、身元保証人と身元本人との個人的な信頼関係に基づいて、広い範囲の責任を負担するものであるから、身元保証人が死亡すれば、その債務は相続人に相続されることなく消滅します。ただし、相続開始時に既に賠償すべき損害が発生していた場合には、その損害を賠償する債務は身元保証人の相続人に相続されます。

4.契約上の地位(権利義務)

契約上の地位も原則として相続の対象となるが、委任契約の当事者の地位、雇用契約上の労務者等の地位など、当事者間の信頼関係に基づくもの、特定の者が契約上の義務を負うことが予定されているものは、相続の対象とはなりません。

5.生命保険請求権

受取人が保険契約により個別的に定められていれば、その受取人が相続人であっても、相続による取得とはいえず。そもそも相続財産には含まれません。

◆寄与分と特別受益〜生前に故人の財産維持に尽くした方、故人から生前に財産をもらった方〜

相続人の中には亡くなられた方から生前に住宅を買ったり自動車を買ったりしたときに資金を出してもらった人も多いのではないでしょうか?

その場合相続人が1人であったりすべての相続人が同じように資金の援助を受けていればいいのですがそのような例はあまりありません。相続人の中の1人がこういった援助を受けているとなると、相続人間で不公平感が生まれかねません。したがって故人の生前に、特別に利益(財産)を受けてた人を”特別受益者”とよび、共同する相続人間で合意が得られなければその特別受益分は相続財産の一部の前渡しとして扱われることになります(ただし遺言でそれが免除されている場合には遺言に従います)。また遺言で特定の相続人に財産を贈与することもできますが、こういった贈与も特別受益に該当することになります。

また亡くなられる前に介護が必要になり、主に長女が介護を担当し、入院費介護費も負担することもあった場合や、家業の商店を長男が必死に切り盛りしていた場合などのように、亡くなられた方の介護や看護、それに伴う療養費や生活費を負担したり、亡くなられた方の財産の維持や増加に特別に寄与した人を“寄与者”と呼びます。複数いる相続人の中でも特別に寄与したということで、相続財産から寄与分を受ける権利があります。

ただし寄与分に関して“絶対的な基準”はありません。相続人間の話し合いで、金銭に換算して“このぐらい”ときめ寄与者に本来の相続分より多めに配分することになります。相続人間の話し合いで決まらなければ、家庭裁判所で話合い(調停)をし、それでも決まらなければ家庭裁判所の決定(審判)によることになります。

注意しなければならない点は、特別受益者と寄与者については相続人でなければならない点です。したがって、たとえば亡くなられた方の長男の妻が長い間介護看護をしていたとしても寄与分は認められないことになります。

◆相続の承認と放棄

相続人は当然に被相続人の権利義務を包括的に承継する、とされていますが、法定相続人は必ず相続をしなければならないわけではありません。相続をする(承認)か、相続をしない(放棄)か、または一部のみ相続する(限定承認)かを自らが決めることが出来ます。

□単純承認

被相続人の権利や義務のすべてを受け継ぐことを単純承認といいます。この場合、被相続人に財産があればその財産を受け継ぐことができますが、同時に債務もうけついでしまうので、十分な調査をする必要があります。単純承認をした場合には、どんなに債務が多くてもすべて責任を負わなければならなくなります。

□限定承認相続した財産で支払える限度においてのみ、被相続人の債務を支払う、というのが限定承認です。つまり、財産から債務を差し引きそれでも財産が残っていればその財産を相続しますが、財産を超える分の債務は弁済しなくても良いという、相続人の安全を図るものです。

□相続放棄

その相続に関して財産も負債も受け継がないことを相続の放棄といいます。この放棄をすると、その相続についてはじめから相続人とならなかったものとみなされます。とまり相続の放棄をすることによって、この相続とは一切関係がなくなるわけで相続人に子供がいても代襲相続は行われません。

相続放棄と限定承認の場合には、相続の開始を知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出なければなりません。これをしない場合には単純承認をしたものとみなされます。3ヶ月以内でも相続財産の全部または一部を処分したときや相続財産の隠匿などの背信行為をしたときは法律上当然に単純承認したものとみなされます。

□相続人がいなかったとき

また、法定相続人が存在せず、遺言などもない場合で被相続人の借金などの負債の支払いや遺贈などの財産の清算をしてもまだ財産が残っている場合には、家庭裁判所は被相続人と生計を同じくしていた者(内縁の妻、夫や養子縁組届けを出していない事実上の親子として生計を同じくしていた者など)、非相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別の縁故があった者に相続財産の全部または、一部を与えることができます。

それ以外の相続人不在の財産については、それが共有財産であるときには他の共有者に帰属し、そうでないときには国庫(国)に帰属します。

◆相続回復請求権

相続回復請求権というのは、死んだ人の財産が民法の定めたとおりの相続人に受け継がれず、第三者に侵害された場合にこれを取り戻させようとする権利のことをいいます。これは裁判によって行使することもできますし、裁判外で行使することもできます。相続回復請求権は相続人またはその法定代理人が相続権を侵害された事実を知ったときから5年間行使しないと時効によって消滅します。相続開始の時から20年を経過したときもこの権利は消滅します。

◆相続手続きの時に必要な書類

故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本の取得 籍のある市区町村役場(所)

亡くなられた方の生まれてから亡くなるまでの戸籍は、故人の相続人全員を確認するために必要な書類です。たとえば亡くならた後に誰も知らなかった隠し子が存在し、その隠し子も相続人の一人だったというケースもないとは言えません。

一概に戸籍と言っても、実にさまざまな形式があります。除籍謄本、改製原戸籍、全部事項証明、身分証明書など行政の窓口にある戸籍関係の交付申請書にはよくわからない文字がたくさん並んでいます。その中で、必要なものを特定することは大変ですが、たいてい住民課(市民課)などの窓口に行って“相続で使うために、故人の出生から亡くなるまでの戸籍がほしい”と言えば、だいたい担当の方もわかっている方が多いので、書き方を教えてくれます。生まれてから、亡くなるまで戸籍を移動せずに過ごしてきた方ならば問題なく1か所の市区町村役場(所)で戸籍関係はとれますが、本籍を2度3度移動している方も珍しくありません。そういった方の場合には、現在ある戸籍の前の本籍地の市区町村役場(所)に出向くか郵送で申請をするしかありません。

また、東京都などは大空襲で焼けてしまった戸籍が大量にあり謄本を発行できないこともあります。そのような場合には焼失してしまった事実を証明するものを市区町村役場(所)は発行してくれますので、それを戸籍謄本の代わりとします。

印鑑登録証明書の取得  市区町村役場(所)

印鑑登録してある方は、印鑑登録カードを持って市区町村役場(所)に出向き印鑑証明書の交付を受けます。相続手続きには印鑑を押さなければならない機会が多く、銀行などの財産関係を処理する時には必ずといっていいほど実印での押印が求められます。その際に公的にその実印が本人を表すものである証明となるものが印鑑登録証明書です。印鑑登録をしていない方は、実印を決め印鑑登録をしなければなりません。

◆亡くなられた後の手続き

亡くなられてからの手続きは、かなりさまざまでしかも一度に短い期間に大量にしなければいけないものです。身近な方がなくなられて悲しみにふけっている時間もなく必然的にやってきてしまします。

これらを行う時に、葬儀社が行ってくれる場合や他の親族や隣家が行ってくれる場合もありますが、自らが行わなければならないことも多々あります。

そのようなときに専門家の助言を受けながら行うのが、もっとも効率よく費用的にも結果的に安く上がる近道です。

□亡くなられてすぐ必要な手続き

死亡診断書を受け取る

臨終に立ち会ってくれた医師や死亡を確認してく入れた医師に依頼します。医師の署名押印が必要です(不慮の死などの場合は「死体検案書」の交付を受け検死が必要です)。

死亡届の提出(7日以内)市区町村役場(所)

届出人は、同居の親族、同居をしていない親族、親族以外の同居人、家主などです。届出先は、亡くなった方の本籍地、亡くなった所の市区町村、届出人の住所地にある市区町村です。

埋火葬許可申請書提出、埋火葬許可証うけとり

火葬場担当者より埋葬許可証の受け取り

火葬埋葬には市区町村長の許可が必要なため市区町村役場(所)にて申請をし許可証を受け取らなければなりません。交付された埋火葬許可証は火葬の当日に火葬場に持参して受け付けに提出します。火葬後、火葬をしたことを証明するなどと裏書され、これが火葬証明書になると同時に埋葬許可証になります。この書面は後日納骨の際に墓地や寺院に提出します。

必要な場合には死亡診断書記載事項証明書を受け取る

世帯主がなくなった場合には世帯主変更届の提出(14日以内)

亡くなられた方が、世帯主の場合には新しく世帯主になる方は住所地の市区町村役場(所)に提出が必要です。書式は住民票異動届の中に記載するようになっています(世帯構成員が2人で一方が亡くならた場合には不要の場合もあります)。

返却・提出する物(医療、介護保険、年金、福祉関係)

(国民、後期高齢者)健康保険証の返却  市区町村役場(所) 亡くなられた方の職場

(国民)健康保険証の変更事項の書き換え申請  市区町村役場(所)亡くなられた方の職場

(国民、後期高齢者)健康保険葬祭費の支給申請  市区町村役場(所)亡くなられた方の職場

身体障害者手帳などの返却

年金受給停止手続き書(市区町村役場(所)、日本年金機構、共済組合連合会など)

生命保険金支払請求

◆財産の相続手続き

財産は不動産(土地や建物など)と動産(預貯金や株式など)に大別されます。公正証書による遺言や、遺産分割協議書があればそれに従いなければ、法定相続分に従って相続人に分配されます。
相続分の分配に関しては、遺言などの関係上複雑になることもありますが、以下に一般的な手続きの流れ記します。

□銀行、郵便局・株式、投資信託、国債の手続き

1.亡くなられた方がどの金融機関と取引があったのかを確認する
2.それぞれの金融機関に手続きを進めるための必要書類を確認し、金融機関書式受け取り
3.それぞれの金融機関からの受け取った書類を確認し戸籍謄本、印鑑登録証明書などを添付しなければならない書類の種類と必要枚数の確認をする
4.相続人全員に必要な書類の記入と戸籍謄本、印鑑登録証明書の取り寄せをお願いする
5.必要書類を記入した書類に添付書類を添えて、金融機関に提出する(直接持っていくか、郵送でも受け付けてもらえます)

※金融機関が故人の死亡を知ったときから、故人の口座は閉鎖されすべての取引ができなくなります。これは死亡届を市区町村役場(所)に提出しただけでは足りず個別に報告などが必要になります。
※金融機関ごとに相続人代表を決め、手続き終了後相続人代表の口座に振り込まれるか、直接現金でもらう形となります。
※亡くなられた方宛の郵便物は、財産の特定他手続きの上で重要なものも含まれていますので一定期間は捨てずにとっておき必ず中身を確認した方がよいでしょう。

□不動産の相続手続き

不動産の相続手続きは、相続人の中から取得者をきめ取得者が本人名義で行うのが一般的です。しかし分割の協議が整わなければ相続人全員の共有にすることもできます。

◦申請人は不動産を取得した人か司法書士などの代理人
◦申請窓口は不動産所在地の登記所(法務局、地方法務局、支所、出張所)


◦提出書類
◦登記申請書(登記所に用意してあります)
◦固定資産税評価額証明書(市区町村役場(所))
◦登記簿謄本(または権利書)
◦亡くなられた方の出生から亡くなるまでの戸籍謄本
◦亡くなられた方の住民票の除票
◦相続人全員の戸籍謄本
◦相続人全員の住民票
◦相続人全員の印鑑登録証明書
◦遺産分割協議書(または遺言書写し)
◦委任状(司法書士に委任する場合)
◦費用は登録免許税として固定資産税評価額の0.4%。司法書士に委任した場合には報酬も加算されます。

◆相続におけるスケジュール

亡くなられた後に行う手続きは、すぐに行わなければならないものと比較的余裕を持って行うことができるものとに分けられます。市区町村役場(所)などの手続きに関してはすぐにやらなければいけないものが多くありますが、亡くなられた方の財産の分配(相続)はどちらかと言えば余裕を持って行うことができるものです。

しかし、相続の放棄や限定承認、相続税の申告などは期間が決まっており、それに遅れると手続きができなかったり、追徴課税されたりすることがあります。そのようなことが無いように必ず期間までに申請、申告できるように準備をしなければなりません。

また限定承認や相続放棄の手続き自体は裁判所で、大した時間はかからずに行うことができますが、限定承認や相続放棄するには大前提として、亡くなられた方にいくら財産があっていくら借金があるかという、財産調査が必要です。財産調査は1日でできるケースもありますが、複雑なケースだと数週間数カ月かかってしまうこともあります。

限定承認、相続放棄は原則的に1度してしまったら覆すことはできません。そのためにも、念密なスケジュール管理をした上で財産調査を行うべきです。

被相続人の死亡

相続開始(相続人が被相続人のなくなったことを知った日)
遺言書の有無

3カ月以内  相続放棄、限定承認の手続き
4か月以内  故人の準確定申告
10か月以内  相続税の申告・納税

(必要ならば遺留分減殺請求を1年以内に行う)

 

事務所報酬 ⇒ 報酬ページをご覧ください。

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